ご挨拶

KEIO WIZARDは、皆さんが普段「不思議だな」と思っていること、「こうなったらいいのにな」と思っていることについて、そのことを自ら理解し、考えて、友達や先生と対話をして、自ら行動して、人に伝えるといった「思っていることを具体的な形にしていくための考え方」を「システム思考」と「デザイン思考」という考え方に基づいて学び、体得するプログラムです。システム思考とは、ものごとのつながりを「鳥の目(俯瞰的な視点)」や「虫の目(緻密な視点)」といった複数の異なる視点で捉える考え方で、デザイン思考とは、デザイナーのような方々が新しいものを生み出す時に使っている、ワクワクするアイディアを生み出したり、アイディアを形にしたりするときに用いる考え方です。それらの考え方は、小学生や中学生にとっても様々な場面でとても役立つ考え方です。また、KEIO WIZARDが対象にすることは心のことから宇宙のことまであらゆるものです。皆さんの身近なことは必ず世界各地のグローバルなことに繋がっています。そういうことにも気づいて頂けるように今年度からプログラムを更にアップデートしました。参加頂く一人一人が主役のプログラムです。興味を持って頂ける方の参加をお待ちしています。

慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授 神武直彦

プログラムの概要

プログラムの概要

慶應義塾大学は、2018年度に国立研究開発法人科学技術振興機構による次世代人材育成事業に採択され、慶應義塾大学殿町タウンキャンパス(神奈川県川崎市)を拠点に、ジュニアドクター育成塾 「KEIO WIZARD:生命の誕生から宇宙の利用までを科学する ~みんなのウェルビーイングを君たちの科学の力で描いてみよう~」を2022年度までの5 年間実施してまいりました。毎年、小学校5 年生から中学3 年生までの約50 名(ベーシックコース;約40 名、アドバンスドコース;約10 名)の受講生が、宇宙、ビッグデータ、AI, 医療、ヘルスケアなどの最新のトピックに触れながら、システム思考やデザイン思考の考え方に基づいて、身近な問いへの研究と持続可能な社会とのつながりや関係性を俯瞰的に捉えるシステムズアプローチにより、研究活動を通して社会課題の解決に向けて自ら行動することを学びました。

そして2023年、急速に拡大、多様化する現代社会、学習、体験環境も多核化し、才能の発芽も広範化しています。 慶應義塾大学は「ジュニアドクター育成塾」の後継プログラムである「次世代科学技術チャレンジプログラム」に採択され、KEIO WIZARDシーズン2として、『KEIO WIZARD “GLOCAL”』を開講いたします。 宇宙、防災、医療、環境など最新のトピックに触れながら、ワークショップやフィールドワークなどを通して、身近な課題(Local Issue)と地球規模の課題(Global Issue)の繋がりを理解し、我が事ととして捉え、多様な仲間と共に解決策をデザインしていきます。学校の教室を飛び出して、私達と一緒に科学の力で課題解決に向けて行動しましょう!

※KEIO WIZARD;KEIO Wellbeing Integrated Wizard Training Program for elementary to Junior High School Students

育てたい人材像

  1. 「身近な視点+地球規模の視点」(Glocal Viewpoint)で物事の繋がりを理解し、解決策を考え、創り出すことができる
  2. 年齢や所属、興味、国籍によらず、多様なメンバーの中で自己を認識し、学び教え合いながら共創することができる
  3. 自分の個々の興味・関心に基づいた探究活動の探究テーマを自ら設定し、その活動を楽しんで、粘り強くやりぬくことができる

プログラムの特徴

KEIO WIZARDは、ベーシックコースとアドバンスドコースで構成されています。

1.様々な課題の繋がりを俯瞰的かつ緻密に理解する:

a.システム思考能力・デザイン思考能力
b.データ活用力・論理的思考力

2.国内外の多様なメンバーと共創する:

a.グローバルコミュニケーション能力
b.成果発信力(伝える→伝わる)

各コースの特徴

ベーシックコース(40名程度)
1.基本的な考え方の授業と体験に基づく納得感の提供
2.多様性を考慮した組合せでのグループワーク
受講生の興味関心、性別、出身校に配慮したグループを構成します。
多様な国内外の専門家がメンターとして伴走し、学びを支援します。
アドバンスドコース(10名程度)

アドバンスドコースの受講はベーシックコースを修了された方が対象となります。

1. Glocalの視点に基づく知識・技能の深化
「身近な課題」かつ「地球規模な課題」に対する研究テーマを各自が設定し、ベーシックコースでの学びを踏まえて研究プロセスを実践します。
実際に課題に直面する国内外の現場に出向き、関係者との対話と共創を通じてグローバルなコミュニケーション力を養います。
2. 個人ワークを中心としたメンタリング
連携する国際機関の研究者を含む各分野の専門家がメンターとして受講生の研究を指導し、主体的な研究活動を支援します。
ビデオグラファーによる動画撮影・編集・公開の指導を通じて、研究成果を効果的にまとめて発信する力を養います。

実施体制

国立研究開発法人科学技術振興機構次世代人材育成事業「次世代科学技術チャレンジプログラム」とは:

国立研究開発法人科学技術振興機構次世代人材育成事業「次世代科学技術チャレンジプログラム」は、「ジュニアドクター育成塾」の後継プログラムとして2023年度より実施されます。本事業では、科学技術イノベーションを牽引する次世代の傑出した人材を育成するため、初等中等教育段階(小学校高学年~高校生)において理数系に優れた意欲・能力を持つ児童生徒を対象に、その能力の更なる伸長を図る多様な育成プログラムの開発・実施を支援します。育成プログラムについては、探究活動、STEAM教育、アントレプレナーシップ教育、国際性の付与等の高度で実践的な取組を始めとした、実施機関や地域等の特徴を生かした多様で挑戦的な取組を求めます。これに加え、本事業の中で開発された人材育成手法について継続的な成果の把握、事業改善を通じて有効性の向上を図るとともに、広く普及させることで社会全体への効果の還元も目的とします。

※ご参考:
国立研究開発法人科学技術振興機構 次世代人材育成事業 次世代科学技術チャレンジプログラム https://www.jst.go.jp/cpse/stella/